藍斗と初めて会ったのは
幼稚園の年長さんのとき。
パパの転勤で
私たち家族はここに引っ越してきた。
とっても引っ込み思案で
人見知りな私。
緊張するとすぐお腹が痛くなる。
幼稚園の初日もそうだった。
九月に引っ越してきたから
クラスはもう出来上がってて
みんなでしゃべってるなかに入っていくなんてできずに
私は教室のすみっこに座ってた。
だんだんお腹が痛くなってきて
でもトイレの場所が分からなくて
みんなにも聞けないしなぁ…
そう思って私に
話しかけてくれたのが藍斗だった。
「にいなちゃんどおしたの?」
「…え、えっと」
どどどうしよー!
知らない子、しかも男の子と喋るとかできないよ!
でもお腹いたい。
だんだん
年長さんだった私の目には
涙が浮かんできた。
そんな私を見て
「どおしたの⁉どっかいたい?」
「…お…おなか…いたい」
そう言った私の手をぎゅっとにぎって
おトイレまで連れてってくれた。
これが私たちの出会い。