「ほれー、席つけー」
そう言いながら
担任の嶋田先生が入ってきた。
みんなガヤガヤと席に戻る。
一緒におしゃべりしていた莉乃ちゃんも
ばいばい、と言って戻っていった。
「きりーつ、れー」
これは川崎くん。
号令は学級委員の仕事のひとつ。
「今日は席替えすんぞー」
席替えかー…
莉乃ちゃんの近くだったらいいなぁ
そう思って
今は1番前の席の莉乃ちゃんを見る
莉乃ちゃんも私の方を見てて、
口パクで何か言ってる。
『平田の隣だといいね!』
莉乃ちゃんの言いたいことを理解した私は
焦って周りを見渡す
誰かに見られてたら私死んでた…。
そんなことをしてるうちに
くじをひく順番がまわってきた。
27…あ、一番後ろの窓側
隣は28の人か。
女子だといいなぁー
そう思いながら27番の席に移動すると
…どういうこと?
27番の席にはすでに
平田くんが座って寝てた。
平田くん間違えてるのかな…?
そう思っていたら
平田くんの手には28と書いてあるくじが握られていた。
うそ、隣の席…平田くん?
嬉しいけど
大丈夫かな?
てか、席戻ってもらわなきゃ…
「あの…平田くん?」
声をかけるとむくっと顔だけあげて
こっちを向く平田くん。
「あ、村松、27の人?」
「う、ん…」
「俺こっちがいい。いい?」
すっごく眠そうに言う平田くん。
なんかかわいいなぁ
「あ、うん…どーぞ。」
「ん、あんがと」
そう言ってまた顔を伏せる。
眠いのかな…?
そういえば
平田くんって授業中もよく寝てる。
野球部大変なのかな?
なんか
窓際の席がお似合い。
ぽかぽかしながら気持ち良さそうに寝てる平田くんを
知らないうちに盗み見てる自分がいた。