「だから…自信持て。」
「…はい。」
「お前は他人を見過ぎ、
そして考えすぎ」
「…?」
「さっきのゲームだって
自分で入れられるボールだったのに
一年に回しただろ?」
…うわ、ばれてた。
八木先輩はよく言う。
ミニゲームの目的は
試合のための積極性を身につけること。
「確かにあの一年は頑張ってた、
人一倍走ってたしな。
でもボールは回ってこなかった。
それはあいつがまだ頼れる存在じゃねーってことだ。
それを変えるのはあいつ本人にしかできない。
俺らにできんのは
そのことを教えてやること。」
「でも…それは…」
「そういうとこが優しすぎんの!」
びしっと指さされる。
「人を育てんのは
優しすぎても厳しすぎてもだめ、だろ?」
「…はい。」
「自分の可能性から逃げんな。
お前、色んなもん持ってんだから。
なっ?」
にっ、と笑う先輩。
確かに
先輩は優しさも強さもある。
「自信持ってぶつかってこい」
…え?
先輩が言ったのはバスケのことだろう。
でも俺には違う意味で響いた。
ぶつかってこいって後押ししたの
先輩っすからね?
「先輩…今日は早退していいっすか?」
「あ、やっぱ体調よくねえのか?」
「あ、はい。」
「わりーな、長話して。」
「いえ、勇気出たんで。」
「そうかそうか!
んじゃおつかれさん。」
先輩…すいません。
あしたの朝練は1番早く来るから許して下さいね。
「おつかれっした!」
「おー」
ひらひらと手を振り
もうコートを見つめてる先輩。
…おしっ