ふと、着信音が鳴る。 相手はワタナベさん。 まったく、人の気も知らないで… タイミング良すぎ、悪すぎ。 「…はい、もしもし」 『あ、ども、ワタナベです』 「知ってます」 『え、なに、暗い!』 私は自分の髪の毛をすく。 絶対的によくなった髪質。 恋する女子のパワーだった。 「ワタハルさん、私…」 自分でもなにを言おうとしているかわからなかった。