月華side





静寂に包まれた夜の屯所はとても寂しかった。


今から誰かが死んでしまうというのに…


それにしては静かすぎる。



島原から帰って来た土方さんはすぐにあの人のもとへと向かった。



私も黙って付いていく。



明かりがともった一つの部屋の前で立ち止まる。



「行くぞ、」



土方さんの合図で私達は刀をスッと抜く。



そして近づいて行くのだが、何故か足が思うように進まない。




「月華?」




平助が私に気付き首を傾げる。



私は「何でも」とだけ返しておいてそのおもい足を無理矢理動かした。