私達は言葉を交わすことなく近藤さんの部屋へ向かった。
辺りは真っ暗で月の光だけが頼りだった。
「近藤さん、遠藤が目ぇ覚めた」
「本当か?!入ってくれ」
私が目が覚めたら来ると解かっていたようだ。
近藤さんは私がいる前提で「入れ」と言った。
土方さんがそっと襖を開けて中へ入る。
私も「失礼します」と言いながら土方さんに続くように入った。
近藤さんは私を安心と疑問がある、と、言うような顔で見ていた。
「声、戻ってよかった」
「はい、御迷惑をおかけました」
頭を下げると近藤さんは罰の悪そうな声で「私の所為だから謝らないでくれ」と言った。