頬を伝う雫を平助は拭き取ってくれた。




そしてかがんだ平助は私の耳元に唇をよせる。




「愛してる」




私だけにしか聞こえないくらい小さな声で、愛の言葉をくれる。




私も背伸びをして平助の耳元で囁く。




「愛してる」





この言葉が言えなくなってしまったのはいつだっただろう。







雫で濡れた蕾は咲き始めた。


















月華side*end