月華side
とっさに漏れた本音は平助の唇によって遮られた。
久しぶりに触れる唇に心の臓は大きく高鳴った。
「今からかっこ悪いこと言う…」
微かに震える手で私を引き寄せた平助の言の葉を今度はちゃんと聞かなきゃと思って小さく頷いた。
「お前の様子が可笑しいことにはすぐに気付いていたんだ…
けど、江戸へ向かって宿で同じ部屋で寝られるって浮かれてたのは俺だけだったんだって思った時たしかに小さな怒りもあったけど、それよりも不安が襲ってきたんだ…
本当に月華は俺のこと好きなのかって…
で、伊藤さんを迎えに行って、伊藤さんに気に入られたことに嫉妬して、俺のなのにって思って…
屯所でもたびたび伊藤さんに呼び出されるお前見てたらどんどん独占欲で支配されて、余裕のねぇ男は嫌われるって新ぱっつぁんに言われたから距離をおいた…
ごめん、ホントゴメン…お前をここまで追い詰めるつもりじゃなかったんだ…
ただ、好きでどうすればいいかわからなくてッ…」
肩の辺りが濡れていくのがわかった。
彼が泣いている…
そっと震える平助の背中に腕を回してギュと力を込めた。
「ここにいる。
平助の腕の中に私はいるよ、
ここが私の居場所なの…私は貴方に独占されなきゃいやなの、
私は貴方のもの、けど、貴方も私のもの…
誰かが貴方をかっこ悪いって言ってもいい。
ううん。
むしろその方がいい。
私だけ貴方のかっこいいところを知っていればいい。
ね?
平助…私も独占欲強いでしょ?」
そう思われてもいい。
私は貴方が傍にいてくれるなら、何もいらないのっ…