近藤side
前より悲しい顔をするようになったあの子を横目に溜め息をついた。
「近藤さん、気持ちは解からなくもないが…」
夕刻になり巡察から戻ってきたあの子は誰と何かを話すことなく縁側でボーっとしている。
振り返ると、あの子と藤堂くんが気まずい関係になったのはたしか伊藤さんを迎えに行く前夜ような気がする。
何故か私の部屋に藤堂くんが来たような覚えが…
もしかしたらあの時に何かあったのかもしれない。
何故、あの時に気が付いたやれなかったのだろうか…
「はぁー…しかたねぇ…」
溜め息ばかりつく私に呆れたのか歳は机に向かいなんかを書き始め、それを小さく折りたたみ、今度は押入れからなにやら少し大きめの箱を出した。
「これは山崎から預かっているあいつの着物…
それからこの文を祭りにまぎれて届けて来いとかなんとか言っとけば平助は気付くだろうが月華なら隊務だと思い込んで調度イイだろう…」
つまりは隊務と見せかけて二人に仲直りさせるってことか…
すごいなぁ歳はっ!!
「だが…平助しだいだろう。
あいつがちゃんと月華の本音を吐かせる事ができたら二人は戻るさ、」
「本音とは?」
「どうせ平助が嫉妬したのを気付かず嫌われたとかなんとか思ってんだろ、あいつは…」