「近藤さん、月華です」



「あぁ、入ってくれ」



「失礼します。」




戸をあけてすぐに平助が目に入る。



私はいつものように「おはよう」と言う。



けど、




平助は私から目をそらしながら小さな声で「はよ、」と言った。




また夢が頭によぎる。




まさか、ね?




たまたまだと自分に言い聞かせて近藤さんをせかせ宿を後にし平助の案内で伊東先生の下へ向かった。










道中、平助と一言も交わす事はなかった。