総司side





見せつけのために彼女に顔を近づけようとした。



平助、キミが見ていることは知ってるなら早く奪いにきたら?



後数センチの所で黒い影が僕の頬に目掛けて落ちてくる。



それを避けて彼女から離れた。



その隙にと平助は彼女の手を取り走り出した。




「あーぁ、行っちゃった。」




小さくなっていく背中を見つめていると手になにやらごついものが置かれた。





「わっ、やだ、汚れるじゃないですか土方さん。」




悪態をつくといつもは鬼の血相で怒鳴る癖して今は何も言わずにそのごつい手を左右に動かしてきた。



「土方さんに撫でられても嬉しくないんですけど、」



どんなに言っても何も言い返してこなかった。




平助に手を取られた時の彼女の顔…


赤く染まって、嬉しそうだったな…