「此処の人達は暖かい人等なんよ。」
それが?何?
何て、いつもの私なら言えただろう。
でも、何故か私はお梅さんだけには悪態がつけない。
「月華はん、あんさんに暖かさを思い出して欲しい。」
暖かさなんて前から知らない。
思い出して欲しいなんて言われても暖かさなんて、知らない…
「今はわからんくてえよ」
「っ?!」
私の心を見透かしたように言うお梅さん。
でも、今の私でも今後の私でも、
暖かさなんて知るわけない。
知っているのは暗闇の冷たさだけ。
「うちを信じてぇや」
たった、たったこの一言だけなのに、私はその綺麗に笑うお梅さんを信じたくなった。
でも、
信じたとしても、私が此処で上手くやっていける保障なんてないし、長州の奴等を見つけたらいてもたってもいられなくなるはずだ。
そんな私が本当に此処に留まってもいいのだろうか?
私が考えている時、さっきまで黙っていた芹沢が口を開いた。
「お主、命令だ。此処の隊士になれ」
命令と言う芹沢。
私は命令されることなんて嫌い、なはずなんだけど、
「遠藤 月華」
「ん?」
「私の名は遠藤 月華。私を此処の隊士にして下さい」
気付いた時にはそう言っていた。