お梅side





怖くて怖くてたまらなかったのに、
月華はんの一言で恐怖なんて最初からなかったかのように消えていった。


芹沢はんには聞こえなかったからまだ怒りを表わして月華はんを睨んでいた。

その恐怖の中でも芹沢はんがうちのために怒っているなんてことを考えていたのも事実や。


でも、
今一番気になるんは…


「何であんさんは自分を苦しめるようなことするん?」

「え…」


月華はんは“あの”顔をしたまま私を見る。


「あんさん、とても苦しそうやは…」

「別に」

「じゃぁ、何でそんな顔するん?」

「え?」


本人は気付いてないんやなぁ・・・


「泣きそうやで?
今のあんさん…」

「っ、!」


罰の悪そうにうちから目を逸らす。


この子はわかってるんやね…


「なぁ、芹沢はん」


うちは一つ芹沢はんに頼み事をしようと思ぉた。


芹沢はんもうちの話気付いてくれたんかして微笑んで月華はんに視線を戻した。


此処の人達は皆暖かいからきっとあんさんにそんな顔させへんよ?


月華はん。






お梅side*end