昨日ぎりぎりのところを彼が助けてくれた。




それなのに、私は彼を瞳に映さなかった。



…映せなかった。




軽蔑しているはずの彼の顔を見たくなかった。




…見れなかった。




怖かったんだ…




優しい彼が、優しい彼の瞳が…






何色にも染まっていない彼の涙を止めていた手で拭き取る。




彼は「ん…」と声を零すけど目覚める事はなかった。




あまりにも無防備な彼の頬に私は気付いたら口付けしていた。





自分の行動に顔が熱くなる。



それと同時に罪悪感が生まれる。



これから先、彼には素敵な人が…



馬鹿なことを考えた自分に驚き私は繋いでいた手を振り払ってしまった。