「月華!」 手にこもる暖かさと優しい声色が耳に入ってくる。 ゆっくり目を開けると私の手を握る平助がいた。 私が起きた事に気付いていないのか、無防備に眠る彼の頬は透明な涙で濡れていた。 何故かその苦しそうな表情にさっきの夢が頭をよぎる。 夢の彼も泣いていた。 “お前”を想って… なら、貴方は? 貴方のその涙は…? 彼の頬へ手を伸ばす。 何気なく昨日の事が頭に過ぎった。 その伸ばしていた手を引っ込める。