京の町は恐ろしいほど静まり返っていて俺の足音だけが響いていた。
店の明かりはてんてんと消えていき付き明かりだけが俺の行く道を照らす。
古高の店ももう明かりは消えていた。
物音一つもない空間に俺の汗がじわりと流れた。
何処から入るべきか、
もう少し様子を見るか…
裏口に廻ったのはいいがやはり中から物音もしない。
「藤堂はん」
戸の隙間から覗こうとした時だった、背後から俺の名を呼ばれ変な汗が背中に流れる。
古高の仲間、か…?
異様に高鳴る胸を押さえ距離を取りながら振り返った。
そこには黒に包まれた山崎くんがいた。
「何だ…山崎くんか…」
はぁーと安堵の溜め息を吐くが山崎君は呆れたような溜め息をはいた。
「何だって…酷いわぁー…
けど、今はそんなことゆぅてる暇はありまへんで?」
真剣な顔つきで戸を見つめる。
まるで今、中で何が起こっているのかを見透かしているようだ。
「藤堂はん、この機会、逃したら、あいつ、一生の傷おうで?」