その弱々しい声が凄く悲しかった。


俺の胸にツキンと痛みが走る。


腕にまた力を込める。


頬に伝わる雫なんか気にすることなく俺は月華を抱き締めた。



「平助…?」


「恩返しなら今からでもできる。
何もしてやれなかった事なんてない。
お前はあの芹沢さんを笑顔にした、お梅さんを笑顔にした、
お前は、あの二人を幸せにした。
最期も共にしてやれた。
芹沢さんとお梅さんの顔見たか?
とても幸せそうに笑ってたじゃん。
恩返しなんて、お前が強く咲き誇ればいい、咲き乱れろ、
月に笑われてもいい。
笑わせておけばいい。
誰が言おうとお前は月の華だ、
お前があの二人の分も幸せになればいい」




上手くなんて伝えられない、
けど、あいつが今俺の腕の中で泣いているのは嘘ではないから、
お前は一つ大きな壁を越えた。
今はそれだけでいい。




「私っ…もっと、お二方に生きていて欲しかった、笑っていて欲しかった、
傍にいて欲しかった!!」


「これからは俺が傍にいる…ずっとだ…
お前が辛いならこうやって抱き締める。
お前が泣くならその雫を拭いてやる。
お前が笑うなら俺も笑う。
お前が幸せならその幸せを祝福する。
お前が願ってくれるなら傍にいる。」



何もいわなかったがたしかにあいつは頷いたような気がする。



「今までありがとうございました」



月華は優しい涙を流しながら最後の別れを言った。

これからは俺が傍にいるから…




平助side*end