「中に入ろ?」



本当なら俺がしっかりしなきゃいけないのに、


本当なら俺がお前を支えなきゃいけないのに、


どんな言葉をかければいいのかわからなかった。



とにかく俺等は部屋に入るがまた俺はあいつを抱き寄せた。



こんな事しか、俺はできないから。





腕に力を込めると、あいつは震えた手で俺の背中に手を回した。




「私がいるのはあの方々のおかげなんだ」



いきなり話し出す月華に何も言うことなく頷く。


それを確認したように月華は続けた。



「憎しみにとらわれていた私にお梅さんは芹沢さんに頼んでくれたんだ。
此処の隊士になれるように…
芹沢さんは笑って私を迎えてくれた
お梅さんは此処の人達の暖かさを教えてくれた
それなのに、私…何も恩返しできなかった。
助けて上げられなかった。
もっと違う方法で此処を守れることを伝えておけばよかった。
父と母みたいな人だった。
そんな二人に、私…何もしてあげられなかったっ…」