平助side





すっと手からぬくもりが消えたような気がして俺は目を覚ます。



やはりそっきまで握っていた月華の手がない。



俺は焦って部屋の戸を開けるがその手を途中で止めた。



というより、止まっていた。




月を見据えるあいつがあまりにも綺麗で…




けど、
やはりその瞳は悲しそうだった。




俺はとっさに何も履かず月を見据えるあいつの小さな身体を抱き寄せた。



「へ…すけ?」




驚きの声を上げるが俺は離すことなくもっと腕に力を込めた。



「ふふ、苦しいよ」



無理して笑うあいつにまた胸の方がちくっと痛みがはしる。



どのくらいあいつを抱き締めていたんだろう。



その日の月は珍しく泣いていた。