『ねこみみ。』での、笑いっぱなしだったパーティーの帰り道、手を繋ぎ、2人で街を歩いていると、ふと愛菜がそんなことを聞いてきて、あたしは多少口ごもりながら、そう答えた。

やっている、ちゃんと。……あたしなりに。


「2月だっけ? 試験」

「うん」

「ありがとうね、マコ。やっぱりマコはすごいなぁ。俺なんてさ、卒業したら服飾の専門学校に入り直したいなんて言ってても、まだまだ親父を説得しきれてなくて、服作りも自己流だし全然ダメ……。素人の域を出ないよ」

「愛菜、葉司に戻ってる」

「おっと」


そうなのだ。

あたしたちが通う大学には、臨床心理士の資格を取るための学科があり、あたしはそこに編入するべく、勉強の日々を送っている。

簡単に言うと、カウンセラーだ。


対して愛菜は服飾のほうに目覚めたようで、マイミシンを購入し、それを巧みに使いこなしながら、服から小物まで幅広く手作りしている。

ただ、葉司父からの了承がなかなか得られないのが現状のようで、どうやら、前に進みはじめたあたしに焦りを感じているらしい。

大学を卒業してからも一緒にいられるとは、愛菜もあたしも、さすがに思ってはいないのだけれど、進路がこうも明確に別れてしまい、なかなかどうして、寂しいのが実際のところだ。