だって、みんながいなければ、今日という日は来なかったのだ、ベロチューの一つや二つ、ガンガン見せつけてやろうじゃないか。

ふん。


「それでは皆さま、にっこり笑ってください。今から記念写真を撮らせて頂きます」


それからしばらくの後、ケーキやシャンパン、そのほかの料理も食べ尽くし、飲み尽くし、宴もたけなわになったということで、最後の記念撮影をするべく、カメラを構えた野宮さんの合図で、あたしたちはぎゅっと集まった。

口調こそ、いつも通りの執事的な言い方だけれど、三脚にデジカメを固定し、ボタンをピコピコ操作していることから、野宮さん自身も写真に収まる気が満々なのが容易に窺える。


「なによ、野宮も映りたいの?」

「お嬢様……」

「嘘よ、いいわよ。ここに来なさい」

「……ありがとうございます!」


なんてやり取りがあり、またひとしきり笑ったあと、5秒後にシャッターが下りるようにタイマーを設定した、とのことで、野宮さんは急いでメルさんの隣に移動し、全員で笑顔を作り、赤いランプが点滅するデジカメを凝視する。

けれど、5秒経ってもシャッターが下りず、みんな、あれ? と首をかしげはじめた頃、野宮さんが代表してデジカメを覗き込んだ。