メルさんから聞いたところによると、新しく可愛い娘を見つけたらしく、ちょくちょくお店に顔を出し、また、呪いの呪文をかけあっているのも、相変わらずなところなんだそうだ。
あたしは、告白大会を最後に竹山とは会っていないのだけれど、元気そうで何よりである。
「マコ、あたしたちも乾杯しよ」
「うん!」
にっこりと微笑みながらグラスを傾けている愛菜に、あたしもチン……!とグラスを合わせる。
淡いピンク色をしたシャンパンを口に含むと、中でパチパチと弾ける炭酸の感覚と、ちょうどいい甘みやアルコールが絶妙で、さすがメルさんが選んできたものだ、と唸るほかない。
セレブって、とことんすごい……。
「これからも、ずーっとよろしくね、マコ」
「こちらこそだよ、愛菜。……それと、葉司のほうにも。ずーっと、ずーっと、よろしくね!あなたの全部が、あたしは大好きですっ!!」
「あたしも!!」
そう言い合い、えへへへーと額をくっつけながら笑っていると、どこからともなく、キスをせがむ声と手拍子が起こりはじめる。
ざっと周りを見渡してみると、どうやら先導を取っているのは奈々らしく、ニヤリと口元に不敵な笑みを浮かべ、こちらを見ていた。