いかん、いかん……。
メルさんが怒ったら怖いに決まっているし、もう21歳のいい大人が、顔を笑われたくらいで取り乱すなんて、それこそ大人げない。
いつかも言ったけれど、あたしはもともと、パーチー眼鏡を掛けたような顔をしているのだ、いくら笑われようと、かまうものか。
そうして、ふるふると頭を振って開き直ると、それを待っていたかのように、メルさんがおもむろに口を開き、乾杯の音頭をとりはじめた。
「じゃあ、改めまして。愛菜、まことちゃん、2周年、本当におめでとう!! あなたたちの絆の深さは、ここにいるあたしたちが証人よ。これからもずーっと、2人仲良くラブラブするがいいわ!2人の前途を祝して、かんぱーい!!」
「カンパーイ!!」
「かんぱーいっ!!」
カチャン、カチャンと、店内のあちこちからグラスを合わせる小気味いい音が響く。
その音や、みんなの楽しそうな笑顔を見ていると、またぐぐっと感動の波が押し寄せてきて、ああ、あたしたちは本当にみんなから愛されているんだな……と、心の底から実感した。
ここに竹山の姿がないことが、あたしとしては唯一の心残りではあるのだけれど、あれだけ格好いい引き際を演じた竹山をわざわざ引っ張り出すわけには、さすがにいかない。