場違い、というほどでもないのだけれど、どうして呼ばれたんだろう……というような顔で静かにパーティーの席にいた先輩だ、これで完全に悪目立ちしてしまい、アウェイ確定である。
まあ、丹念に施してくれた奈々のメイクを、宝塚みたい、と言ったのだから、文句を言われるのも致し方なく、また、アウェイも必至だ。
あたしのとっさの物言いも含め、愛菜や奈々からの落ち込むような一言は、今はスルーすることにして、茨城このやろー!と、あわあわと逃げまどう先輩を追いかける追いかける。
「ごめんなさいごめんなさいっ!!」
「許さん!」
「そうよ、化粧映えするとか、別人みたい、とか、ほかにも言い方があるでしょ!!」
「マコは可愛いよっ!!」
茨城先輩をとっ捕まえ、口々にそう言う。
けれど、ふと気づくと、追いかけたり捕まえたりしている間に涙が引っ込んでしまったのだから、あら不思議、としか言いようがない。
「あんたたち、さっさと乾杯するわよ」
そうこうしているうちに、ケーキとシャンパンが配り終わったようで、メルさんの迫力満点の低い声で促され、あたしたち4人は、誰からともなく元の位置に戻り、グラスを手にする。