おそらく同じような話を何回も聞いているだろうに、身を乗り出して話に相づちを打ってくれるメルさんに思わず頭を下げる。

そうすると、メルさんは「頭を下げられたのはまことちゃんが初めてよ」と、上品に笑った。

つられてあたしも少し笑う。

けれど、いつまでも笑ってはいられない事情が込み込みのあたしは、一番気になっていることを意を決して聞いてみることにした。


「……メルさん」

「ん?」

「何回も聞かれてると思うんですけど、参考までに、ちょっとお尋ねしてもいいですか?」

「あら、何かしら」

「ここへ来た女の子たちは、結局どんな結論を出していくんですか? 彼氏だったり家族だったり、状況は人それぞれなんでしょうけど、その……“オトコの娘”ってけっこう特殊じゃないですか。みんなどうしてるのかなと思って」


接客中なのだろう、いまだ葉司が現れない中で結論を急ぐようなことはしたくはないのだけれど、今後についての参考にするくらいなら、葉司だって許してくれるはずだ。

それに、メルさんが女の子たちにどういうアドバイスをしているのか知りたいとも思っているし、尋ねるならこのタイミングだと感じた。