「いつまでそうやって俺を下に見てるつもりなの? 俺だって男だよ、まことちゃんがいくら抵抗しようと、力で適うわけないのに」

「力で適わなくとも、口では勝てる」

「おいおい、まことちゃん。大丈夫? だからバカな俺にもバカだって言われんだっつの」

「なにおぅ、茨城っ!!」


そうして、バトルを繰り広げること、数分。

夜10時を過ぎたというのに“オトナの時間"にはまだ早いのか、ネオン街は閑散としたもので、通行人が現れる様子はない。

けれど、もし万が一のことが起こりそうになったとしても、この通り、あたしの言葉はしっかりとしたものだし、軽くジャンプしてみても、足腰だってしっかりしている。

いざとなったら走って逃げて、すぐそこの普通の街並みに紛れ込むか、近くのお店の中にでも避難してしまえばいいだけの話だ。

うん、何も問題はない。

すると。


「ったく。口だけは本当に達者だな」

「……っ!?」

「ギャーギャー喚くなよ。指も噛むな。もし命令に背くようなことをしたら、気づいたときには全部が終わってた、なんてことになりかねない。……俺の言ってる意味、分かるよな?」


と。