桜空は自分のことを話そうとはしなかった。


俺の気を惹きたがるケバいオンナ達は聞いてもいないのにべらべら喋る奴らばかりだったから、桜空の態度は新鮮だった。


……畜生。もっと知りてぇんだよお前の事が。



「……タツキ、帰りたイ…」


俺の肩を押し拒絶しようとする桜空を抱き上げ、倉庫の階段に足をかけた。


「どこに行くノ!?」

「部屋だ。春臣、誰も近づけんな」


桜空の問いに素っ気なく返事を返して春臣に言いつけた。


春臣は無言で非難するような視線を向けてきたが、それに気づかないふりをする。


腕の中で声を圧し殺して泣く桜空にすら感動した。



何だって、コイツは俺の心を揺さぶれるんだ?意味分かんねぇ。