それを聞いていた春臣は、盛大に噎せた。


「お前……。自分で何言ってんのか分かってんの?つか鷹嘴だよね?どっかに頭打った!? それともなんか変なクスリやってんの!?」

「煩ぇ黙れ」


桜空は俺から逃げようと身を捩るが、絶対に離す気はねぇ。



「……離してヨ…」


嫌だ。離さない。



「……聞かせろ。お前の事」



他人のことを知りたがるなんて、今までの俺が見たら鼻で笑うだろうよ。


それでもいい。


「……私のコトより、アナタがどうしてこんなコトをするのか、……教えテ?」


舌っ足らずに喋るその唇を塞ぐ。


ああ、煙草より酒より中毒性が高い。このままコイツに溺れてしまいたい。


「……もしもーし?甘々俺様にジョブチェンジですかー?聞こえてますー?彼女、困ってますよー」


春臣の茶々さえ耳に入らない。

世界が二人だけで存在してれば、それでいい。