精巧にできたフランス人形のようだと思った。


髪を掬うと、しなやかに風に乗ってふわりと揺れる。


豊かな色彩を持つ女。




初めて何かを『欲しい』と感じた。



この人形は、どんな感情を持っているのか。

どんな魂が入っているのか。


さっきの牝犬達なんぞ何が面白くなくてこいつをハブっていたか、そんな理由は知りはしない。


どうせ容姿が気に入らないとか男を寝盗られたとか、そんな馬鹿げた理由でも陰湿なことをするのが女って生き物だ。



壊れ物を扱うように、女の頬を撫でてみた。


決めの細かい白磁のような綺麗な肌。


吸い寄せられるように、口を塞いだ。


――甘い、果実酒。


口当たりはいいくせに、酔わせるのは早い。


―――この女を、離したくない。