サーキット場で遊んでる人達が帰ってきたら、退院祝いと祝賀会をやりたい、とお祖母ちゃんが言い出した。


夜も遅いし、お祖母ちゃんは疲れてると思うのに……。


パーティーはお祖母ちゃんの家ではなくて、宿泊棟の広場で始めることにした。


商品に使っている肉や乳製品を惜しげもなく使って、バーベキューやら飲み物やらの準備をする。


兄貴はバーベキューの火を起こす係り。


懐かしいな。小さい頃は、よく兄妹でこんな事してたっけね。


そこにイタリア人のお祖母ちゃんと日本人のお祖父ちゃんがいて、お母さんがいて。


みんなが目を細めて私達を見てた。

採れたての、新鮮な野菜やフルーツ。珍しい食物も、いっぱい並んでた。



その中の1つを食べた兄貴が、泣きそうになったことがあったよね。



「あ……。スターフルーツがある。兄貴は食べられるようになった?」

兄貴が嫌いなフルーツ。それがスターフルーツだった。


「……あんなもん、見た目だけで食べなくてもいいもんじゃん。飾りだろ。刺し身のツマと一緒だし」


……つまりは未だに苦手なわけね。


昔と変わらない私と兄貴の距離にも安心するのは、きっとこの先もそれが変わらないと信じてるから、なのかな。



「ああ!みんなが帰ってきたわ!カイ、肉を焼き始めてちょうだい」


お祖母ちゃんの声で振り返る。



そこには肩を叩きあいながら入ってくる蒼季や春臣、鷹嘴先生にクリス……。


それに、何故か来た三宅さんやクリスの仲間達。




人の絆やご縁って面白いね、お母さん、お祖父ちゃん。



私の顔を恐る恐る見る蒼季に満面の笑顔を向けて、その頬にキスをした。


今日だけは車バカでも怒んないよ。



だって。


大好きなんだからね。




†☆ほうき星☆ end†