「溜め息ついて、どうしたの?カノン」

あれ、今の声……。


「お祖母ちゃん!?」

なんでこんな所にいるの!? まだ入院してるんじゃないの!?


「婆さんが煩くてさ。自分も見たいって言い出して、聞かなくなって。医者はあっけなく退院許可を出すし」


まだ車椅子に乗ったお祖母ちゃんが私の後ろにいたからびっくりした。

兄貴はお祖母ちゃんの車椅子を押してきてくれたらしい。


「退院って……。そんなの聞いてないよ?急すぎない?」

「お医者さんも大丈夫って言ってたから大丈夫でしょ。それより、アルファに乗ってるのがアキかい?カノンの大事な人?」


お祖母ちゃんの体はまだ心配だったけど、お医者さんが大丈夫だって言ってるならそれで良いのかな?


「……うん、車が大好きなんだよね」


車でバトルするのが好きなんだけどね。


「あなた達のお祖父さんもそうだったわ。車が大好きで、わざわざ車を見るために日本からイタリア旅行に来たぐらいだもの。それで私と出逢ったのよ」

「へー、初耳。バイクには興味なかったの、爺さんは?」


兄貴は特に感動した風もなくお祖母ちゃんに聞いてるけど、お祖父ちゃんにそんな一面があったなんて。


確かにお祖父ちゃんもアルファロメオを持ってたけど……。


ん?アルファロメオ?


……あれ?