……ここに一人でいたって、またつまんないじゃん。もー蒼季の病気、どうにかなんないの!?


てゆーか!


「兄貴!なんでイタリアまで来て、蒼季にバトルさせるのよ!?」


なんの理由があるんだよー!?


「三宅と事故ったヤツがさ、保険金を払うか払わないかでゴネてるんだよね。んで、ソイツが言うには自分とラリーやって勝てたら払ってやるよってな事になってさ。バイク勝負なら俺か鷹嘴さんがヤるつもりだったけど、相手は車勝負じゃなきゃ嫌だって言い張ってるし。クリスはアルファ155は自信ないっつーし、ならお前ならイケるだろ、って考えたワケ」

「ちょうど禁断症状出て、体が鈍ってたとこなんだ。テムプラとヤれんの、すげぇ楽しみにしてるわ」


そう言う蒼季の顔は、もう兄貴と同じぐらい獰猛な顔になってるし。



……はーあぁ。

こうなったら何を言っても聞かないのはもう慣れましたよーだ。


……動きやすい服に着替えて来ないと駄目ですね分かりました。



外に出るとガレージの前に真っ赤なアルファロメオが停まっていた。


こんな車、お祖母ちゃんちにあったっけ?それとも兄貴がまたどっからか調達してきたとか言う?


……いや、待て。


この車、前にどこかで見たことあるような気がする。

どこで見たっけ?