「ヨシナオは、友達がとても多くてね、毎日10人ぐらいがお見舞いに来るんだよ。それがまぁ、賑やかな子達ばかりでねぇ」

うわ。

「……煩そう……」


お祖母ちゃんは「楽しいよ」って言うけど、イタリア人の「楽しい」には日本人で言う「若干迷惑」のニュアンスも含まれるよね。


だけど病室に寝込む賑やかな隣人のお陰で、お祖母ちゃんの入院生活がそれほど寂しいものじゃないことにはホッとした。


兄貴達が来るのを待って、合流してから帰ろうかとも思ったけど、待っても待ってもなかなか来ないので私達は先に帰ることにした。


兄貴達とは擦れ違いになったらしいけど、それこそイタリア人並みに人を振り回す天才のようなアイツらにわざわざ絡んでいく事もないか、と諦めた。



病院を出ると、フィレンツェの有名大聖堂を目の前にして建っているリストランテでしっかりごはん。

大きくて厚いTボーンのビフテッカを前にして、蒼季は「……誰が食うのこれ……」の言葉の後は絶句していた。




それからは近場の観光名所をご案内。鎌崎先生の為に、いくつか歴史的な建造物や広場を撮ったりした。


その全てに蒼季と私がツーショットで収まっているのは、言うまでもない。





………この時はまだ、二人の時間を満喫してたのにね!


イタリアに来てまでも、アイツらが何か仕出かしてくれるなんて、予想もしてなかったからね!



しかも以外な人物まで参戦して……。