お祖母ちゃんは蒼季を優しい目で見つめた後、「カノンをヨロシクね」と言って、蒼季の頬にもキスしてた。

イタリア人の親愛表現に慣れてない蒼季は、結構ガチガチに固まっている。ぷふ。


笑い声は隣のベッドからも聞こえてきた。



「おにーちゃん、イタリア人のこんぐらいでビックリしてたらもたねーよ?」



うん、几帳面な日本人にしてみれば、イタリア人のルーズさには閉口するだろうね。


でも、あの?



「俺さぁ、市街地に住んでて個人の運び屋やってんのね、バイクで。事故った日も、愛車走らせて道かっ飛ばしてたらいきなり正面衝突でさ。気がついたら30メートルぐらい吹っ飛ばされた後だった。入院しても検査なんか時間通りには医者達来ねぇし体が痛くて飯は食えねぇしでもう散々よぉ」




けど、この人も随分オープンな性格の人なんだなぁ。日本人だよね?



三宅さんって、いくつぐらいだろ?蒼季と同じぐらいの歳に見えるけど、髭を生やしてるからか実際年齢が分かんないや。