そして翌日。



蒼季と一緒に自分達の部屋に戻り、遊び疲れで居間でだらだらしていた時に、不意に私の携帯が鳴った。


相手はクリス。


多分イタリア行きの事で話があるんだろう。


「おはよ。クリス?」

『おはよう。昨日はちゃんと話し合えた?』


話し……。

あの後もホテルで話し合いは、したんだよね。


蒼季は、自分もイタリアに行くと言って譲らなかった。私は、精神的に蒼季に頼らず一人でお祖母ちゃんと向き合いたかったんだけど。


でも、蒼季の強い意思に最後は私も譲歩する形で話し合いにケリがついた。

「うん。蒼季と一緒にイタリアに行くよ。クリスと兄貴はいつ行くの?皆で一緒に行こうよ」


どうせなら一緒の方が安心できるしね。


『5日後なら航空機のチケットが手配できそうだけど。アキは大丈夫?』

「待って、今聞いてみる」


電話を口元から外して蒼季に説明する。

蒼季は即答で「大丈夫」とのこと。


……ねぇ仕事は?学校どうすんの?

「身内に不幸があったことにするから問題ない」だって。

いや、その姿勢に問題あると思う。


「……もしもし、クリス?蒼季も大丈夫だって。チケットの手配もお願いしていいかな?」

多分兄貴の分も取らなきゃなんないだろうし、ここはクリスに甘えちゃおう。


『いいよ。じゃあ、詳しいスケジュールが決まったらまた連絡する』

「うん。お願い」


またね、と言って通話を切った。

今までにもお祖母ちゃんに会うためにイタリアまでは行ってるけど、まさか蒼季と一緒に行けるなんてね。