確かに付き合い始めの頃みたいに甘々ではなくなったけど、蒼季はちゃんと私の事を考えてくれてるんだ……。



それに思い至ると、なんだか蒼季が愛しくなって、思わず段差の上から蒼季をむぎゅ、と抱き締めた。



「……は?おい……」

「後継者にってお祖母ちゃんに言われても、断る…。蒼季と離れたくない」



私の腕を外して体が自由になった蒼季が、私の目をまっすぐに見た。



「……だから」

「…行くから。お前と一緒に」



もうなんでこんなに優しいんだよ、ばか。

嬉しくてまた涙が……。



ついまた泣きそうになった瞬間、辺りがにわかに明るくなった。


ショーを始める花火が打ち上げられている。


ショーを観てる間ずっと、蒼季と繋いだ手を離すことはなかった。



……ショーや花火を満喫してパークを出たら、ホテルにすぐ戻った。


その後はいつもより甘い夜を過ごしたのは言うまでもない。