多分お祖母ちゃんが私と兄貴を呼ぶのは、後継者を決めるため…だろう。



………だけど。


蒼季とこんな状態だから、お祖母ちゃんの事やイタリアに行くって事を相談しづらくて……。


1年前の蒼季だったら、もっと私のことに関心を持ってくれてたはずなのに。


今の蒼季に相談しても、あっさり『行ってくれば?』なんて言いそうだと想像してしまう。


そしたら自分が軽く見られてるみたいで、きっと私は立ち直れないだろう。



相談したいのに相談できなくて。


パートナーだというのに、前みたいに……付き合い始めた頃のように、私に関心がないのも、辛い。


涙が止まらないのは、そのせいなんだ。



止まらない涙を拭いもしないで、下を向いて唇を噛み締めた。



頭上に影が差して、私はきつく抱き締められてる事を知る。


いつの間にか、向かいの席から立ち上がって移動してきた蒼季の胸の中に、閉じ込められていたんだ。