ホテルにチェックインしたら、一時間だけ仮眠をとった。


華音は俺が寝てる間、大浴場で風呂に入ってきてたらしい。


シャンプーの甘い香りが鼻をくすぐり、透けた上着から垣間見える白い肌が、なんとも言えず無意識に誘っているようだ。

だけど華音の表情はまだ硬いまま。



……まだ機嫌治ってないのか。空腹ってのもあるかもな。



そう考えた俺は、レストランに行こうと華音を誘った。

キャラクターに会えるレストラン。一応これでも華音の為に特別席をリザーブしたんだけど。


華音はキャラクターが近づいてくるとそれなりにはしゃいではいるが、やっぱり無理して笑ってるみたいだ。


「……一人で回らせるつもりはなかったんだって。夜にまた行くって言ってんだからさ。ここまで来て不貞腐れんなよ。笑えって」


ご機嫌とりのネタもつきた俺は、開き直りとしか言いようがない態度で華音を見た。



へっ!?



か…華音が泣きだした!?


目の前に座る華音の瞳から、ぽろぽろと涙が溢れ落ちていく。



華音は滅多に泣かないのに。


俺は更なる後悔に苛まされた……。