は?え?


華音が?


タイムトライアルで?


………優勝?


「いっやー!!ビキナーズラックってあるんだな!俺感動しちゃったよ」

宮藤さん…。


「相手がナルシとかばっかだったじゃん。誰でも勝てるって。少なくとも3位なんて軽く取れるでしょ」

凱このやろー…。


「シビックを調整してて良かったな。雲母、また貸すか?」

「鷹嘴先生、今度また貸してね!」


鷹嘴さん、アンタですか!!華音にクルマ貸した張本人は!


華音も嬉しそうに答えてんじゃねぇよ!



「……今日の主役はカノンだね。優勝するなんてさ。アキも賞品でも見せたらカノンの機嫌が直るんじゃない?」


……クリス、傷口に塩を塗らないで、お願いだから。


確かに旅行券をみせたら、華音の機嫌が直るかもな……。



「華音、おめでとう。で、俺……」

「あっ、あのねぇ、優勝したら賞品を貰っちゃったんだよー!これ蒼季と二人で使うの、すごく楽しみなんだ!」


嬉しそうに華音が言う。

そうか、華音がそんなに嬉しがるような物なのか。

さすがに新歓コンパの二の舞は踏むまいと誓って先を促した。


「なんと!舞浜のテーマパークのペアチケットなんだよっ!絶叫系アトラクションに乗り放題だね」



てへっと首を傾げる華音の笑顔が黒いのは、断じて見間違いじゃないはず。