こんな事なら大会に出場しなきゃ良かったなどと本気で思い始めた。



「俺は5位だったけど、アキは入賞して表彰台に立ってたよ。カノンも見てれば良かったのに」


ナイスフォローだ、クリス。敵に塩を送られるのは不本意だが、この際ありがたく好意に甘えよう。

だけどそれは、華音の黒い笑顔に掻き消された。


「ごめんねー見れなくて。表彰台の上にいたからさー、私も」


……さっきから華音の口調がやけに白々しい。


何かこいつ隠してないか?


「お前が表彰台ってどういう事だよ?」

「私も表彰されたもん」


なんで華音が表彰されるんだよ?


「華音はな、別の大会に出たんだよ」


黙って聞いていたらしい凱達が、こっちを見てニヤニヤしている。


「別の大会って?」


そんなの知らねーよ?


「ここの隣に小さいサーキット場があるだろ?そこで車部品の卸売業者達が主催のジムカーナをやってたんだよ」

「JAFの地方選手権に触発された奴から初心者まで、普通免許さえあれば誰でも参加できるって大会な」

「それのタイムトライアルで、雲母は優勝したんだよな」



極悪3人組から聞かされる衝撃の事実。