「あのさぁ、JAF地方選手権って言ったらそれに出るだけでもすげーの。どうしても走りたいんなら、大会が終わったあと走行会をやるかもしんねーからそれに出ろよ。俺も参加できないし」

「……やだ。大会に出たい」



ここまで来れば私も意固地になってしまう。



大体、私と車、蒼季はどっちが大事なわけ!?さっき「何でも言うこと聞く」って言ったくせに!なんだかんだ言って車が一番大事なんじゃん!!



「……あきのばーか……」


すっかり不貞腐れてたから、蒼季の方を見たいとも思わない。


かたくなに窓の外に視点を合わせて、流れる景色を眺めていた。


気まずい雰囲気のまま、車はとうとう関越スポーツサーキットについてしまった。



広い駐車スペースには色んな車が並べられていて、果たして何十台あるのかも分からない。


蒼季の車みたいなのもあるけど、本物のレーシングカーみたいな車、それに軽自動車まで多種多様に並んでいる。



ここからどうするんだろう?と私は迷っているのに、蒼季はすいすいと車を滑らせる。



やがて着いたのは似たような車が並ぶ一角だった。



「……インプとランサーが半々ってところか……」


さっきから気になってたんだけど、もう蒼季、私の事眼中にないよね?私の方が空気みたいに無視されてるよね?