えと?なんでこうなった?


「華音てさ、本当に酒弱いのな」


チャラ男の顔がごく至近距離で揺れる。

慌てて顔を背けたけど、顎を掬われチャラ男とまともに視線がぶつかるように、無理矢理顔を合わせられた。



見たら駄目だ、見ちゃヤバい。



だってコイツ、悔しいことに真剣な顔をしたら、蒼季にそっくりなんだもん。


だから見るまいと必死に遠ざかろうとしてるのに、酔った私の体は思うようには動いてくれない。


「温和ちゃんの友達じゃなくて、蒼季の彼女なんだ、華音?」



なんでチャラ男が私の名前を呼び捨てにしてるんだよ。


しかもコイツ、声まで蒼季に似てる。



このままコイツと二人きりでいるのはヤバい。



そう思うのに、体は動いてくれなくて。



「……何もしねーよ。華音をここに連れてきたのは、ただ華音を一人占めしたかったから……かな」


そう言えば、ここはどこだろ?



「ああ、ここ?どこだか気になる?」


私が気にしてんのは、無事に蒼季の元に帰りたいってことだけなんだけど。