披露宴では蒼季とも春臣とも離れた席に座ってしまい、少し退屈だった。



だけど温和さんの白無垢やドレス姿は、綺麗でよく似合ってて。



お色直しの度に温和さんのとこまで行って写真を撮らせて貰ったけど、妊娠してる温和さんにはちょっと辛いみたいだった。

いつもより少し顔色が悪いし。



そんな温和さんを心配しつつも3着目のお色直しの姿を撮り終わって、自分の席に戻ったら隣の席にあのチャラ男が座ってスタンバっていた。



おいこら、何しにそこにいんだよ。



「『かのん』ちゃんってーの?名前も可愛いね。でさ、『雲母』でなんて読むの?」



はっ。なんでチャラ男に名前を知られたんだ!? 名乗ってないぞ!?




「まーたまた。席次表にのってるっしょ。で、なんて読むの?」


チャラ男は再び同じ質問を繰り返した。あまりにもしつこく絡んでくるから「きららです」って無愛想に答えたけど。



「華音ちゃんねー、マジで可愛いね。俺の好みのど真ん中なんだけど。ねぇ、彼氏いないの?」


いるけど。アンタの斜め前に。



だけど蒼季は、親戚や安藤先生方の親戚の御挨拶に忙しくて、私がチャラ男に絡まれてるのにも気づいていない。



蒼季の助けは期待できないと諦めた私は、チャラ男に喋らせるだけ喋らせてただひたすらに料理を掻き込んだ。



だけど、失敗。


あまりにもガツガツ食べ過ぎたので、喉に詰まらせて焦って白黒してしまい。