知らない人ばかりで少し心細かったから、蒼季の背中に自分の背中をくっつけてもたれ掛かっていると、20歳ぐらいの若い男の人に「君さ、誰?」って声をかけられた。



……お前こそ誰だ?



「あーごめんね、俺の名前言ってなかった。俺は櫻庵(さくら いおり)。温和ちゃんとは従兄弟に当たるんだけど、君は温和ちゃんの友達?」



まぁ、知人と言えば知人になるか。席次表にも『新婦友人』で私の名前が載ってるし。


その人の事を私は何も知らないから、警戒してただこくりと一度だけ頷いた。



「そんなにガード固めなくてもいいって。名前は?なんつーの?」



名前も忘れたその人は、見た感じ少しチャラ男っぽい。


金色に近い髪の毛、耳にはピアスが2つずつ。身長は蒼季と同じぐらいで、顔は無駄に整っている。


この人も多分モテるんだろうし、女慣れしてるっぽい。