そして翌朝、時刻は9時。


緊張しつつ蒼季の車に乗り、ご両親への挨拶の言葉を考えていたら車酔いしてしまって吐きたくなった。

初っぱなから駄目駄目じゃないか。



「そんなに緊張すんなって」と蒼季は言うけど、緊張するなって言う方が無理。



蒼季が玄関のドアを開ける前に何度も深呼吸したから、絶対過呼吸になるかと思ったよ。



で、蒼季の実家のリビングには櫻家の皆様が勢揃いなさっておられる。



温和さんもお母さんも、着物姿でスタンバっていて、どうやら結納までの準備は万端みたいだ。



蒼季のお母さんはやはりと言うか、とても美人さんでしかも長身。モデルさんみたいな人なんだけど、どっちかと言えばキャリアウーマン的な美人さんかな。

いかにも『仕事出来ます』みたいな雰囲気だ。


お父さんの方はちょい悪っぽい。なんと言うか……雰囲気的には蒼季と言うより、うちの兄貴寄りのような気がするヤンチャ系のようで。

勿論、落ち着いて精神的に安定はしてるんだけど、根っこの方では今でも遊ぶことを純粋に楽しんでる…そんな感じかな。