「でもどこ行く気だよ?」


免許をとったばかりの華音に土地勘があるとは思えない。インプレッサにナビなんて付けてねーし。


「んー。こないだクリスからお誘いの電話を貰ったんだけど、断ったんだよねぇ。そこ行こ」

「は?ヤツもいんの?なら止めだ。行かない」

「蒼季、私が好きなとこ行ってもいいって言った。それに私が行かないって断ったから、クリスも多分行ってないと思うのに……」


むー、と膨れる華音が、再び険悪な空気を纒いだした。


「分かった、分かりました。でも一応場所は教えろ。どこだよ」



俺を見上げた華音が、にやりと笑ってドヤ顔で告げた。



「関越スポーツサーキット」

「……なんでそこ」




『関越スポーツサーキット』、そこ、俺が今日一番行きたいとこなんですけど……。