あわてて桜空の後を追いかけた。


白血病って日本語、アイツが知っていなければいい。



そしたら…。


そしたら俺は、どうするんだ?




すぐに治る病気だと嘘をつくのか?


不治の病だと本当の状況を伝えるか?




どちらの選択も選びたくない。



辛すぎるだろ。




桜空も、俺も。




余命半年?



おいふざけた冗談言ってんじゃねぇよ。




逃げた桜空を屋上で掴まえた。


耳を塞ぐ桜空の腕を引いて、胸の中に閉じ込めた。



「いいか桜空、あの病気は…」

「死んじゃう、病気…だよネ?」



顔を見れば桜空の目には涙が今にも溢れ出しそうだ。



「ちが…」

「違わナイ。私の、パパの方のおジイちゃんがその病気だっタ。助からないッテ」

「桜空、お前は死なないから。俺と一緒に生きてくんだろ?」


そうだ、桜空はこんな病気で死んで良い訳がない。



俺はこんなにも桜空を必要としている。




なぁ、頼むから。


神でも仏でも構わない。


どうせ俺は嫌われ者だから長生きする予定なんだろ?


だったら俺の命、桜空に分けてやってくれよ。



桜空と俺を、引き離さないでくれよ…。