病院へは毎日毎朝毎晩面会時間のギリギリまで通ったが、桜空が退院する気配は感じられなかった。


桜空も退院できない状況を苦痛に感じているらしく、ただ「早く帰りタイ。タツキと、秋のオマツリに行きたいの二…」そう愚痴を漏らしていた。




だがだんだん桜空の顔色も悪くなり、食欲も落ちてくるのを目の当たりにすると、これがただの検査入院でないことは嫌でも気づくさ。




さすがに二週間も退院できない状況に業を煮やした俺は、主治医を捕まえ頼りたくもねぇ親父の名前を出して脅し、桜空の病状を強引に聞きだした。







聞いた瞬間、目の前が闇に閉ざされる。




―――急性骨髄性白血病―――



余命、半年。



誰か、嘘だと言ってくれよ。


なんで桜空がそんな病気に蝕まれなきゃなんねぇんだよ。




知らず知らず病院の壁を殴りつけていた。




その音に反応して、ガタンと何かが倒れる音がする。



ゆっくりと振り向いて、そこにいたのは…桜空。




…今の話を、聞かれた……のか?