どこにでも桜空を連れて歩いた。


学校でも街でも構わずアイツを俺が離さなかったから、アイツは俺のオンナとして一目置かれるようになった。


学校で桜空をハブっていた奴等も背後に控える俺に恐れをなしてか、アイツに嫌がらせなどする者は誰もいなくなった。


少しでも桜空の事を守れればいい、その笑顔が曇らなければいい。


最近ではそれしか頭にないのかと苦笑した春臣にまで突っ込まれる始末。



だから何だよ煩ぇよ。




「タツキ、今日もどこかに行くノ?」


溜まり場の俺の部屋、情事の後で桜空が甘えた声で聞いてきた。


「いや、今日は他のチームとの抗争だからお前は家に送らせる。春臣なら問題ないだろ?」

「私、春臣好きヨ。面白いかラ」


違うって。春臣がへらへらしてんのはオンナを油断させる為なんだから気をつけろよ。だけども桜空は俺のモンだって知ってるから春臣は桜空には手を出さないだろうが、アイツのテクセの悪さは犯罪モンだと思うぞ。



純真無垢な桜空にそんなことを教えるのも罪悪感が残るからそれは言えねぇけど。


桜空と付き合うようになってから、一度だけ桜空の母親とは面会した。


なるほど日本人を目の敵とまではいかないが、警戒心を解かれることなく追い払われてしまったんだけどな。


意外だったのは、普通の親なら娘の彼氏がどうしようもない不良だということに危機感を抱くんだろうが、桜空の母親は、日本人なら誰にでも警戒心を抱くんじゃないかって点が新鮮と言えば新鮮だ。


そういう括りをされるのも面白い。