「お母サンの趣味なノ。だけどお母サンは、日本のヒトが好きになれなくテ、いつも家に籠ってル。家でハ、いつもフランス語で話しなさイって……。だから、私、日本語を上手く話せナイの……」

「なんで日本を嫌ってんだ?」


そんなに嫌ならなんで日本人と結婚しちまったんだよ?意味分かんねぇ。


「……お母サン、パパのことは大好き。だけど言葉が通じないカラ、友達を作れないノ。お母サンには、私だけ」

「お前は母親に束縛でもされてるのか?」

「ソクバク……?分からナイけど、日本の子とは遊ばないデって……。いつかはフランスに帰るカラって……」

「……親の都合に付き合う必要なんかねぇよ」



馬鹿げてるだろ。遊びたいのに遊べないとか。下らねぇ。


「お前は、俺と付き合うのは嫌か?」

「……ううん。タツキは、優しくテ、強いヒト。大好きニ、なったヨ……」

「出逢ったばかりだってのにな。俺も同じだ」



額と額を付き合わせて、自分の気持ちが間違いなく桜空に伝わればいいと願った。






「……何読んでんのお前」


春臣煩ぇ。


「……『地元my map』……。は?何?どっか潰したいチームの下調べ?なんでそんなもんで調べてんの?」


違ぇよ馬鹿。


「景色が綺麗に見える場所を探してるだけだ。花畑とか夜景とか」



桜空に喜んでもらいたいから調べてんだよ。

桜空が喜びそうなとこに連れて行ってやりたいんだよ何か文句あんのかゴラ。


「はっ…花畑!? それ今のお前の頭ん中にあんじゃね!?」


……てめぇ春臣、今すぐぶちのめす。